大腸内視鏡検査

Colonoscopy

大腸内視鏡検査(通称:大腸カメラ)は肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸、さらに小腸の最終部である回腸終末部までを観察し、炎症や大腸ポリープ、大腸がんの有無などを診断します。
必要に応じて大腸ポリープを切除したり、組織の一部を採取(生検)します。内視鏡で行う治療には内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などがあります。
ほとんどの大腸がんは良性の大腸ポリープ(腺腫)から発生します。そのため、良性のポリープ(腺腫)の段階で切除することが大腸がんの予防につながります。また大腸がんはかなり進行しないと自覚症状が現れないため、早期発見のためには症状のない段階から定期的に大腸内視鏡検査を受けることが大切です。
当クリニックは大腸内視鏡検査に対する「つらい」「苦しい」「痛い」「恥ずかしい」という印象や不安を解消し、より多くの方に大腸内視鏡検査を受けて頂くことで大腸疾患の早期発見・早期治療に貢献したいと考えています。健康診断で便潜血反応陽性になった方、日頃から便通や腸などに不安がある方は、お気軽にご相談ください。

眠ったままの状態で検査が可能

当クリニックでは睡眠導入剤と鎮痛剤による静脈麻酔を行い、眠ったままで検査を受けて頂きます。静脈麻酔を用いた内視鏡検査の大きな目的は「不安」や「苦痛」の軽減です。大腸内視鏡検査では腸の中に空気を入れるため、お腹の張りや吐き気などで苦しむ方がおられますが、静脈麻酔を使用することでそのような症状を緩和します。
さらに当クリニックでは検査後のお腹の張りによる苦痛を軽減するため、通常の空気に比べて速やかに腸管内で吸収される炭酸ガスを用いて検査を行っています(空気と比べて約200倍も速く吸収されます)。
※炭酸ガスは腸管内で吸収されても速やかに呼気として体外に排出されるため、身体に害を及ぼすことはありません。

検査終了後は静脈麻酔の効果が減弱するまでリカバリーエリアで休憩して頂くため、安全に帰宅して頂けますが、当日は自動車・バイク・自転車等の運転ができませんので御注意ください(睡眠導入剤使用後の運転は道路交通法第66条で禁止されています)。

日帰り大腸ポリープ切除

検査中に大腸がんの発生母地となる腫瘍性ポリープを発見した場合、必要に応じてその場で切除することがあります。
腫瘍性ポリープには良性の大腸腺腫と悪性の大腸早期がんがあり、大腸腺腫は大きくなるほど癌化率が高くなります。したがって、発がんリスクのある腫瘍性ポリープをより早期に切除することが大腸がん予防につながります。
大腸ポリープを内視鏡検査中にその場でなるべく切除することで、何度も下剤を飲んで検査を受ける必要をなくし、患者様の御負担を軽減したいと考えています。
しかし、ポリープが大きくなれば大きくなるほど安全な切除は難しくなるため、10mm以下の小さいうちに切除することが望まれます。また、ポリープが大きいほど切除後の出血リスクも高くなるため、日帰りでの切除が不適切と判断される場合には入院の上でのポリープ切除をお薦めし、当クリニックと連携している病院、あるいは御希望の病院に紹介させて頂きます。

実際の大腸内視鏡検査の手順

STEP 01

検査予約

大腸内視鏡検査では検査前日などに下剤を服用して頂く必要があり、その下剤をお渡しするため、事前に受診して頂いてからの予約となります。

STEP 02

検査前

検査の3日前から消化の悪いもの(海藻類、きのこ類、こんにゃくなど)の摂取を控えてください。
検査前日の夕食は午後7時までにお済ませください。
検査前日の午後8時にマグコロールP1包を約150mlの水で溶かしてお飲みください。
さらに午後9時にコップ1杯以上の水でプルゼニド2錠を服用してください。
便秘の方には検査前日に排便が容易となる検査専用の食事を食べて頂く場合があります。
さらに便秘の程度によっては検査の3日ほど前から下剤を服用して頂くこともあります。
詳しくは検査予約の診察時にご説明いたします。

STEP 03

検査当日

朝と昼は絶食になります。但し、水、お茶などの糖分を含まない透明な飲み物は飲んでいただいても大丈夫です。
当日の朝、コップ1杯以上の水でガスモチン2錠を服用していただきます。
クリニックに御来院後、約1500mlの腸管洗浄液(モビプレップ®)を飲んで頂きます(個別のトイレを備えた個室で飲んで頂きます)。
当クリニックでの大腸内視鏡検査が2回目以降の方は、原則的には御自宅で飲んで頂きますが、場合によってはクリニック内で飲んで頂くこともあります。
10回ほど排便して頂いて便が十分にきれいになってから検査開始となります。
便が十分にきれいにならない場合、浣腸をさせて頂くことがあります。

STEP 04

検査施行

検査着に着替え、体の左側を下にして検査用ベッドに寝て頂きます。
静脈麻酔を行って、リラックスした状態で検査を受けて頂きます。
※検査時間:通常15~20分程度。
ポリープを切除する場合には30~50分程度となります。

STEP 05

検査後

粘膜の一部を採取して、細胞レベルでの検査(生検)を行った場合、当日はお酒を飲むことができません。
ポリープ切除手術を行った場合には出血予防のため、1週間ほど消化の良い食事、禁酒、激しい運動の禁止、旅行など遠出の禁止をお願いしております。検査後のスケジュールにもご注意ください。

大腸内視鏡検査の費用

健康保険の対象ですが検査・治療内容によって金額の幅が大きくなります。
保険診療3割負担の方で内視鏡検査料のみで約6,000円となります。
確定診断のために組織を採取(生検)した場合、1臓器につき別途約5,000円となります。ポリープ切除術を行った場合にはより高額となり、1つのポリープを切除した場合で約25,000円になります。複数の臓器にわたっての切除になると約30,000円になります。
初診料や血液検査、薬の処方などが必要になる可能性もありますので、35,000円~40,000円程度の御用意をお願いいたします。

大腸ポリープ切除や粘膜切除等の手術をお受けになった場合、生命保険に加入されている方は手術給付金の受給対象となる可能性があります。対象になるか否かは保険契約内容によって異なりますので、生命保険会社の担当者に御確認ください(当クリニックでは詳しい契約内容が分からないため、受給対象か否かを判断することができません)。

便潜血反応検査ってどんな検査?

便潜血反応検査は肉眼的には見えない微量の消化管出血の有無を調べる検査で、日本では大腸がん検診として広く使用されています。
しかしながら、その診断精度は低く、命に関わる進行がんがあっても約80~85%しか陽性にならず、早期がんでは50%以下です。すなわち、便潜血反応検査では約20%の進行がんが見逃され、半数以上の早期がんが見逃されています。つまり、便潜血反応検査が陰性だからといって大腸がんが無いという保証は一切できないのです。
その事実を踏まえて欧米や韓国での大腸がん検診は便潜血反応検査をすることなく、すべての対象者に最初から大腸内視鏡検査を行う方式に既に変更されました。内視鏡検診への変更によって欧米での大腸がんによる死亡率は顕著に低下しましたが、今もなお便潜血反応検査に頼っている日本では大腸がんによる死亡率は依然として増加傾向にあります。
日本でも便潜血反応検査による検診を止めて、欧米と同じ内視鏡検診を導入すべきと提言されていますが、財政的な問題等から実現していません(熊本市が単独で大腸内視鏡検診導入を計画中)。
「便潜血反応検査が陽性だったからもう一度、便潜血反応検査を行いたい。それで陰性だったら大腸内視鏡検査は受けなくても大丈夫でしょう?」と質問されることがありますが、それは間違っていると思います。便潜血反応検査の結果にかかわらず内視鏡検査を受けるのが得策であり、一度でも便潜血反応検査陽性と判定されたなら内視鏡検査を受けるべきだと考えます。

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